あなたは「お彼岸」と聞いて、どのようなイメージを思い浮かべますか。お仏壇にぼたもちをお供えする? 家族でお墓参りに行く? そもそも「お彼岸」って何なのでしょう?
目次
●お彼岸とは何? なぜ年に2回あるの?
お彼岸とは、3月の「春分の日」、9月の「秋分の日」を中日(ちゅうにち)とした、前後3日を合わせた7日間のことです。
初日を「彼岸入り」、終日を「彼岸明け」と呼びます。ですから、お彼岸は春と秋、年2回あるのです。
春分や秋分は二十四節気の一つで、天文観測で選定された日をそれぞれ「春分の日」「秋分の日」とします。
この日は太陽が真東から昇って真西に沈んでいくので、昼と夜の長さがほぼ同じになります。春分の日、秋分の日の日にちが年によって違っていることにお気付きでしたか?
●暑さ寒さも彼岸まで。その理由は?
「暑さ寒さも彼岸まで」という慣用句を聞いたことがあると思いますが、なぜ「彼岸まで」なのでしょうか。
春は春分の日を境にして、だんだんと日が長くなっていき、日差しをたくさん感じることができるようになります。
つまり太陽の出ている時間が多くなっていくので、寒さが和らぎ、暖かさが増していくのです。秋分の日はこの逆パターンですね。
●お彼岸にお墓参りをするのはなぜ?
仏教では、ご先祖様のいる極楽浄土を彼岸(ひがん)、私たちのいる現世を此岸(しがん)と呼び、彼岸は西に、此岸は東に位置すると考えられています。
春分の日と秋分の日は、太陽が真東から昇って真西に沈んでいくことから、彼岸と此岸が一番近づく時期と考え、お彼岸に先祖供養やお墓参りをするようになりました。ご先祖様に一番思いが届く日、ということでしょう。
●お彼岸はなぜ7日あるの?
これは仏教の六波羅蜜(ろくはらみつ)の考えから来ています。お彼岸の期間の7日間のうち、中日がご先祖さまに感謝する日です。
その前後6日間は、人が生きていく上で良いことと悪いことをきちんと判断し、正しい行いができるようになるための六つの行いを1日に一つずつ行う大切な期間なのです。
①布施(ふせ) 分け与える
②持戒(じかい) 規律を守る
③忍辱(にんにく) 怒りを捨てる
④精進(しょうじん)努力する
⑤禅定(ぜんじょう)心を安定させる
⑥智慧(ちえ) 物事の真実を見る
この六つを行うことで、浄土に近づけると言われています。お彼岸の期間だけでも、この六つを心掛けて過ごしましょう、という意味が込められているのです。
●お彼岸の食べ物に決まりはあるの? その理由は?
お彼岸の食べ物で思い浮かぶものといえば「ぼたもち」ですよね。「おはぎ」ともいいます。ではなぜ、お彼岸にぼたもちを食べるようになったのでしょうか。
おもちには自然への感謝と五穀豊穣への祈りが込められており、日本の行事に欠かせないものです。また、小豆には邪気を払う力があると信じられていました。ぼたもちは大変なごちそうだったのです。
大切なお客様のおもてなしやお祝いで振る舞われ、法要の際にも必ずお供えしていました。ですから、仏様やご先祖様への感謝の気持ちを込めて、ぼたもちをお供えするのです。
●お彼岸期間中のどこで食べるの?
では、ぼたもちはいつ食べるのでしょうか。お彼岸が始まったら、すぐに食べていいのでしょうか。甘い物が大好きな私としては、初日から食べたいところですが…。
ぼたもちはお彼岸の中日にいただくのが決まりです。ご先祖様にお供えして、ゆっくりと召し上がっていただいた後、私たちがそのお下がりをいただくのです。くれぐれもご先祖様より先に食べてしまわないでくださいね。
●まとめ
私たちが、今、こうして健やかに暮らしていけるのもご先祖様に見守っていただいていればこそ。
感謝の気持ちを込めて、お彼岸の1日1日を過ごしてみてはいかがでしょうか。